魔女の大釜

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身に甘る幸福 新刊

A5/P58/R-18

過去(黒竜騎士団時代)に恋人同士だったパシランが、環境や立場が変わっても今も想い合っているという愛情を確かめ合い復縁する話。過去回想(捏造含)多め。ハッピーエンドです。
  • p1

    身に甘る幸福


 パーシヴァルは一人、城内の回廊を歩いていた。通いなれた道程はどうにもかつてを思い起こさせる。己の記憶にある光景。白昼夢はまだ続くようだった。
『まさか、俺達二人とも副団長に選ばれるなんてな』
 コツ、コツと反響する靴音が誰かと重なるように聞こえてくる。執務室へと向かうパーシヴァルの隣にはやはりよく見慣れた……しかし現実ではまだ逢えていない好敵手が、美しい黒髪を揺らしていた。
『選ばれるなら、きっとお前だと思ってたんだけど……』
 互いに揃って副団長への就任が決まったあの日。団長であるジークフリートに呼ばれて二人で執務室へ向かっていた最中に、ランスロットはそう言った。ランスロットの就任に『実力』で文句を言う者など既に居ない。パーシヴァルは、それでも尚囁かれる陰口を知っていた。平民の身分、育ち、家柄。あの男が僅かに滲ませた沈吟はそう言う類のものだろう。
「おい、ランスロット」
 けれど、その美しい蒼の瞳に映る光が、騎士の誇りに満ちていた事を知っている。名誉ある地位に就く意味を、誰よりも誠実に受け止めていた事を知っている。だからこそパーシヴァルは鼻で笑って返してやったのだ。

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