龍翔崋

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通販あり

愛も恋も白い皿の上 既刊

文庫/P110/R18

パシランと食事がテーマの短編6本。
のなかさんとの合同誌です(サークル『はこにわ』名義)
  • p1

    愛も恋も白い皿の上

「美味いっ!」
 グリルした肉にかぶりつくランスロットは満面の笑みを浮かべていて、これ以上ないほど幸せそうに見える。実際幸せなのだろう。その豪快さは久しく目にしていなかったもので、それだけで今日ここに来た意味があったとパーシヴァルは目を眇めた。
「ランスロット、こちらを向け」
「うん?」
 手にしたナプキンで汚れた口元を拭ってやれば、右手に牛、左手に鳥の骨つき肉を持ったその男は唖然として目を瞬かせた。
「口で言えよ……」
「両手が塞がっているようだったからな」
 そうして何事もなかったように食事を再開すれば、ランスロットの手もぎこちなく動き出す。続く言葉がないことを訝しんでいるようだった。
 パーシヴァルの皿の上にはランスロットが夢中で貪っているものと同じ肉が数本ある。店のオススメだという肉料理と魚料理のセットをそれぞれ頼んだものの、そっちのも食べたいからと半ば強引に魚半身と交換したものだ。
 こうして互いの料理を交換すること、場にあった雰囲気、料理にあった食べ方があること、それらはすべて、過去にこの男から教えられたことである。

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ふたりのつくづく続く日々 既刊

A5/P90/R18

のなかさんとのWEB再録合同誌です(サークル『はこにわ』名義)
時間軸も内容も様々で、書き下ろしもあります。
  • p1

    ふたりのつくづく続く日々

「まさか、おまえと一緒に副団長に任命されるなんて思わなかったな
「なんだ、俺とともにでは不服か」
「そんなわけないだろ。その逆だよ」
「うん?」
 一日の締めくくりにパーシヴァルの部屋で軽く呑む光景はいつものことだけれど、今ふたりの目前には少しばかり豪華なツマミが並んでいた。
 正式な任命式は後日となっているが、団長であるジークフリートから揃って副団長を拝命したのが数刻前のこと。その祝いにと開かれたふたりきりのささやかな宴は、感情の高揚に反して静かに穏やかに時を刻んでいく。
「両手が塞がっているようだったからな」
「おまえには実力も人望もあって、俺とは違う存在だって思ってたからさ」
「ふん、くだらん。『それ』がおまえに欠いているとでも言うつもりか」
 差異などないと当然のように断言されて、ランスロットは口元を綻ばせた。
 手にしたグラスを呷り、数種類のナッツを口にしているパーシヴァルの仕種はいつもより若干荒々しい。薄く染まった頬が扇情的で、どうしようかな、と思う。
「おまえは優しいな」
吐息を漏らせば、酒精の甘い香りが辺りに漂う。パーシヴァル同様ランスロットも傍目にもわかる程度には酒と雰囲気に酔っていて、思考が浮ついていることを自覚した。
だって、こんなにも嬉しい。嬉しくて嬉しくてたまらなかった。

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