ぴよこみち

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青は赤より出でて 新刊

全年齢、A5サイズ、28p

黒竜時代、部隊長として隊旗を作ることになったふたり。パーシヴァルを象徴する色は赤、そしてランスロットの色は――。赤と青が大切な色になっていくふたりの、穏やかな馴れ初め話です。
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    青は赤より出でて

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    青は赤より出でて

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    青は赤より出でて

青。
 提示されたその色に、俺は奇妙な感覚を覚えた。野原に咲いている花の名前を教わったような、大切な探し物を見つけてもらったような、言いようのない感情が胸を満たしていく。
「お前は、大きな青い瞳が印象的だ。たしかに氷を表す色としては白が使われるが、その源である水を表す色は青だ。悪くはないだろう」
 パーシヴァルは口元を緩めると、どこか誇らしげに言葉を続けた。
「なにより……俺のライバルなのだから、互いに引き立つ色でなくてはな」
「……ふふ。そうだな」
 パーシヴァルは旗を並べたときの見栄えまで、真剣に考えてくれた。それは、俺をライバルとして「隣に並ぶに値する」と認めてくれているからだ。パーシヴァルの実力はよく知っているし、尊敬もしている。そんな相手に認められて、嬉しくないはずがない。

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うたかたの雨 既刊

全年齢、A5サイズ、40p、しおり1枚付き

ある時ランスロットは、王都の人々がパーシヴァルを忘れていることに気付く。どうやらそれは星晶獣の仕業のようで――。記憶にまつわる異変に翻弄されながらも絆を深めていく、遠距離恋愛中のふたりのお話です。※完売した既刊の続編ではありますが、単体でも問題なくお読みいただけます。
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    うたかたの雨

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    うたかたの雨

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    うたかたの雨

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    うたかたの雨

言いたくはないが、言わなければならない。俺は慎重に言葉を選びながら、それを口にした。
「……それから、記録において忘れられたのは国王――その国にとっての最重要人物だ。国王を交代させるために仕組まれた出来事だったのかもしれない。だが今回、忘れられたのは……」
「さして重要でもない俺、か」
「……そうは言ってないだろ」
「構わん、事実だ」
 いつもと変わらぬ調子で言い放ち、パーシヴァルはさらに言葉を続けた。
「もしカール王やお前が忘れられることになれば、国政は混乱するだろう。だが、俺はこの国を離れた身だ。たとえ王都の誰からも忘れられたところで、なんの影響もありはしな――」
「……俺が困る!」
 思わず声を荒らげた。突然のことに、パーシヴァルの目が大きく見開かれる。

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胡蝶日記 既刊

全年齢、A5サイズ、28p

日記を綴るランスロットと、その内容に沿った夢を見るパーシヴァル。離れて想い合うふたりの、不思議な日記帳をめぐる短編集です。ランスロットの日記+パーシヴァル視点の短編のセットで、5本立て。
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    胡蝶日記

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    胡蝶日記

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    胡蝶日記

心地よい風が側らを吹き抜けていった。木々の梢が立てるざわめきが、ぼやけていた意識の輪郭を際立たせていく。
 俺は、木漏れ日の差し込む森に立っていた。あたりは目にも鮮やかな緑に包まれ、どこからか響く小鳥のさえずりが清涼な空気に彩りを添えている。
――俺は、また夢を見ているのか。
 不思議な感覚だった。ぼんやりと、思考に霧がかかっているように感じる。だが、下草の擦れる音や、日差しを浴びた木の葉の一枚一枚の輝きを、目覚めているときのように鮮明に捉えることもできる。
 十日ほど前に見た夢でも、同じような感覚を覚えていたことを思い出す。あのときは騎士団の団長室が不思議な花で埋め尽くされていたが、今回は何があるというのだろう。
 いつもと変わらぬ調子で言い放ち、パーシヴァルはさらに言葉を続けた。
 思考を巡らせながら、俺は目の前に伸びる小道へと踏み出した。

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